蜃気楼

日中温度を測るのが楽しみな日が続く。

40.1,41.2、42.2、42.8 これはいかん。

日陰に入って

38.6、39.1、38.1 うーん、なるほど。

手の甲と指の背から汗が拭きだす。額を流れる汗が目に入る。40℃を超えようかという日は

必ず目に入る。どうしてこんなに顔のつくりが悪い。この温度と汗の経路は想定にはなかったのか。

そして、汗はなぜこんなに目に染みるのか。

景色は砂漠の蜃気楼になり、閉じていく目に光るオアシスを見る。汗は涙で中和されていく。

 

外に出るなという。テレビでラジオで役所のスピーカーで。アナウンサーが優しい気持ちたっぷりで、外は危険だから出ないでください、命を守る行動を(ん、違うかな)、語り掛けてくる。

流行は、少し色褪せてきたが、テレワーク。

外に出ないで、部屋から出ないで、パソコン・スマホの画面ですべての用が足りる世がきた。

そして我々は無菌室を隔てた壁から伸びたロボットアームの指先になって、菌たちにまみれながら、目に入る汗に悪態をつきながら、今日も生きている。

なんとなく南の島で散った兵隊さんのことを思ったりしながら。

 

人間は強い。使いようによっては強くなれる。そう思いたい。

2022年 8月

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